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「東の麓酒造 純米大吟醸雫酒 龍龍龍龍」グルメライター・猫田しげるさん

クイッと飲んでみました。舌にダイレクトに辛みが来ます。強い醸造香が鼻を抜け、その後にグンと厚みのある米の甘み。
お米がどのように磨かれ、麹となり、大事に発酵されたか……。その仕込み過程を舌でたどれるほど、一口すべてに手間が凝縮されたような、濃度の高いお酒です。

(本文より)

 

今回のスタッフブログでは、グルメライターの猫田しげるさんに、「東の麓酒造 純米大吟醸雫酒 龍龍龍龍」をご試飲いただきました。日本酒はたしなむ程度という猫田さんのレポートは、普段あまり日本酒を飲まれない方にも参考になりそうですよ!

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近年は日本酒ブームと言われ、女性も飲みやすい日本酒や、日本酒に合う料理を揃えるおしゃれなお店も増えてきました。実は私も最近日本酒デビューしたと言ってもいいほどの後発組。美味しい日本酒を探してみるものの、蔵元も銘柄もあまたの数があって、何を選んでいいのか分かりません。そんなときに飲む機会をいただいたのが、こちらのお酒。

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「龍龍龍龍」。なんと読むか分かりますか?
なんとこれで「てつ」。龍が四つ組み合わされたこの1文字で「てつ」と読み、当て字ではなく、広辞苑にも載っているそうです。漢字の中で最も画数が多いとか。

その勇ましい字面に反し、意味は「おしゃべり」。龍が4匹集まっておしゃべりするとは、なんだか微笑ましいですね。
「龍」の字は、7歳の子どもが筆書きしたのだとか。この商品の背景にある、人の手のぬくもりやお酒を飲む空間を楽しくしたいという思いが伝わってくるようです。

パッケージは木箱入りでワインのよう。白く美しい瓶のデザインも高級感があります。f:id:blogscout:20160818145047j:plain

 さて。蓋を開けると、それだけでもう芳醇な香りが鼻をくすぐりました。お酒そのものの匂い、というより、酒蔵を訪れたときに嗅ぐような、発酵されたお米と麹が醸すフルーティーな吟香です。
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よく冷やした酒器に注ぎます。水色はほんの少し黄色味をおびています。

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 指についたお酒を口にしてみました。ほんの一滴だけなのに、ハッとするほど鮮烈な味が口に広がりました。濃くて、旨い。このお酒は日本酒度が+2なのでやや辛口なのですが、柔らかくふくよかな口当たりです。それは、幻の米と言われる「ASK愛山」を100%使っているから生み出される風味なんです。

お酒好きに聞くと、「愛山100%なんて垂涎モノ!」だそう。ASK愛山は兵庫県三木市吉川町で栽培されている作付面積が少ない希少な酒米で、米の中心部である心白という部分が大きいのが特徴。そのため雑味がなくすっきりとしたお酒ができるのだそうです。

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「てつ」はこのASK愛山の心白を最大限まで残した40%の歩合で精米し、床揉みなどの工程を経て、木製の麹蓋を使う「蓋麹」という昔ながらの製法で製麹します。そして醸し上げたもろみを木綿の酒袋に詰め、吊して酒を絞り上げます。
自然の重力だけで、ポタポタと一滴ずつ落ちてくるお酒を集める「雫どり」という気の遠くなるような作業で造られたお酒、それが「てつ」なのです。

クイッと飲んでみました。舌にダイレクトに辛みが来ます。強い醸造香が鼻を抜け、その後にグンと厚みのある米の甘み。
お米がどのように磨かれ、麹となり、大事に発酵されたか……。その仕込み過程を舌でたどれるほど、一口すべてに手間が凝縮されたような、濃度の高いお酒です。
喉を通るときに、キリリと爽快感のある刺激を感じ、飲んだあともしばらく余韻が続きます。

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余談ですが、日本酒好きの父がよく言っていました。「大吟醸は後味が強すぎて料理と合わない」と。でもこれは、食前酒にして、山菜のあえ物など酒肴と食べても素材の味を邪魔しない。そして一番合うと思ったのは、炊きたてのご飯。「てつ」の米特有の甘みの相乗効果で、ご飯の甘みも増すようです。

「ご飯が進む日本酒」と言ったら専門家に笑われるでしょうか。でも純米大吟醸についての先入観がない私としては、「てつ」は雑味がなく澄んだ味なので、料理に合わせやすいと感じました。このあとパスタとも一緒に楽しみましたが、ワインのように食中酒としてスイスイ飲めました。

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これまで日本酒で晩酌する、という習慣は全くありませんでした。お店で勧められて飲んだり、ビールの合間に嗜む程度。ですが、これは何にでも合うので食事の時間が楽しくなります。
「てつ」が冷蔵庫に入っていると思うと、家に帰るのが楽しみになります。今日はペペロンチーノと一緒に味わおうかな、焼き秋刀魚にしようかな、意外と麻婆豆腐にも合いそう……などと、考えている間さえ口が「てつ」の味になります(笑)。

 父の誕生日にいつも何を贈るか迷うのですが、ちょっと奮発して「てつ」にしようと思いました。「料理に合う大吟醸があるでしょ!」とドヤ顔するのが楽しみです。

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いかがでしたか?日本酒に先入観がない猫田さんだからこそ、手間ひまをかけたこだわりや味わいがストレートに響いたのかもしれません。ぜひ日本酒好きのお父様と、その名の通り親子の会話を楽しみながら味わっていただきたいですね!

 

ご注文はこちら

 

猫田しげる

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食関係の編集ライター。タウン誌、グルメ情報誌、レシピ本、新聞の地域情報版などの媒体で15年以上取材執筆。美味しいものからちょっと変わったものまで、食に関するあらゆることを愛し、日々発信中。