トマトとともに主役を張っているのが猪肉!
猪肉を使ったボロネーゼソースって珍しいですね。このソースは祇園山の水、その水から作られるトマト、ワイン、さらに地元の山で狩猟した猪と、まさにひと瓶に五ヶ瀬町の恵みが詰め込まれているというわけです。
(本文より)
今回、グルメライターの猫田しげるさんに「日本の極み 宮崎ジビエソース」をご試食いただきました。トマトと猪の肉を使ったこちらのソース、いったいどんな味とこだわりが詰まっているのでしょうか。
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「宮崎県の名産」と聞いて思い浮かぶものといえば、マンゴー、宮崎牛、地鶏、東国原知事(名産ではない)……といったところでしょうか。
なので、この「宮崎トマト&ジビエ」ソースを見た時は「宮崎のトマト? 美味しいの?」と、正直ちょっと疑っていました。
しかしこのソースに使われているトマト、ただのトマトではないようです。
なんでも宮崎県の北西部、熊本との県境に近い西臼杵郡五ヶ瀬町という場所で栽培され、祗園山の湧き水で育ったトマトなのです。
祇園山と聞いてすぐに分かる人はかなりの地理マニアだと思いますが、4億3000万年前の化石が発見されたことから「九州島発祥の地」といわれている1307mの山です。
この地域は伝統的な農業や農法、景観などが残っていることから2015年に世界農業遺産に認定。現在も先人たちが知恵をしぼり培ってきた農業が守り伝えられています。
祇園山の湧き水は「4億年の雫 妙見神水」と呼ばれ、平成の名水百選に選ばれました。
水が良いということは土も作物も良いということ。さらに寒暖差が激しいことからトマトの栽培に適しており、平地に比べて甘みが格段に高まるのだそうです。
このソースに使われているのは、そんな五ヶ瀬町の自社農園で採れた「サンマルツァーノ・リゼルバ」というイタリアントマト。肉厚で加工に向き、生でも美味しいのですが、加熱するとさらに甘みが強まります。リコピンなどの栄養も豊富です。
トマトに、猪肉、赤ワイン、九州産のニンニク、タマネギ、クローブ、ローリエなどを加え煮込んだソース。なんと赤ワインは五ヶ瀬産。地元で収穫されたばかりのブドウ100%で造った、糖度と酸味のバランスが絶妙な「夕陽」という銘柄です。
蓋を開けると、トマトとオリーブオイルの香りがふんわりと立ちます。
まずはそのままで。
ほどよい塩気に濃厚なトマトの酸味と甘み、ニンニクがしっかり香ります。タマネギやセロリの風味もちゃんと効いていて、余韻に赤ワインのコクが後を引きます。
そしてトマトとともに主役を張っているのが猪肉! 食感を残したミンチ状で、全く臭みがなく、牛肉や豚肉とも違う旨みがあります。脂もほどよくあるのでトマトの酸味をマイルドに中和しています。
よく考えたら、猪肉を使ったボロネーゼソースって珍しいですね。このソースは祇園山の水、その水から作られるトマト、ワイン、さらに地元の山で狩猟した猪と、まさにひと瓶に五ヶ瀬町の恵みが詰め込まれているというわけです。
あまりにも美味しいソースなのでうっかりバクバク食べそうになりましたが、パスタに絡めてみました。加熱することで一層トマトの甘みが際立ち、赤ワインも香り立つので、何の変哲もないパスタが一気にお店の味になります。


豚肉のグリルにトッピングしてみました。豚×猪でケンカにならないか心配でしたが、猪が全くクセのない味なので、トマトとハーブの香りが加わり立派なイタリアンの一皿になりました。
魚にだって合います。焼いた目鯛と合わせてみましたが、淡泊な魚に合わせることで、ソースの塩気が加わりちょうど良いバランスになります。白ワインにぴったりです。
パスタ、魚、肉がなくても、クラッカーにのせたり野菜のディップにしたり、使い道がいろいろあって大変便利です。急に家に人が来た時などに、あるものだけでささっと美味しい一品が作れますね。
急に家に人が来るシチュエーションなんてないんですが……(笑)。
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トマトと猪肉だけでなく、その他に使われているお水やワインも五ヶ瀬町のものを使っていたとは驚きですね。自然の恵みをたっぷり詰めた「日本の極み 宮崎ジビエソース」、ぜひいろいろな食材やお料理に使ってみてください。
猫田しげる
食関係の編集ライター。タウン誌、グルメ情報誌、レシピ本、新聞の地域情報版などの媒体で15年以上取材執筆。美味しいものからちょっと変わったものまで、食に関するあらゆることを愛し、日々発信中。