早速一口飲んでみて、思わず声が出ました。
「甘くない!」
これまでの梅酒の概念を全く覆す、梅そのものの味がする梅酒です。かといって酸っぱいわけでもありません。ほんのり甘いのは米の糖分。そして奥行きのあるお酒の香りと旨みが、飲んだ後に喉の奥に余韻を残します。(本文より)
今回、グルメライターの猫田さんに試飲していただいたのは、「日本の極み 茨城県 月の井酒造店 日本酒仕込み オーガニック梅酒」です。数々の銘酒をレポートしていただきましたが、梅酒は初めてです。どんなレポートになったのか、楽しみですね!
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こんにちは。
飲む液体の90%がお酒という私ですが、実はどんなお酒でもやみくもに飲んでいるわけではありません(笑)。お酒の中でも、自分から進んでは選ばないものがあります。それが「梅酒」。もちろん食前酒に出てきた時や、梅酒が自慢のお店に行けば飲むのですが、居酒屋で梅酒ソーダ割りとか可愛いオーダーはしません。
なぜなら、自分好みの梅酒に出会うことが少ないからです。
梅酒=甘い、というのが私のイメージ。もちろんそれが好きな方は多いと思いますが、同じお酒なら私は日本酒を飲みますね。
なので正直、今回の試食レポートでお題が梅酒と知った時には、「えー」と思ったのですが(すみません)、逆に梅酒に厳しい私だからこそ忌憚のない評価ができるはず……と試飲に挑みました。
その名も「日本の極み 茨城県 月の井酒造店 日本酒仕込み オーガニック梅酒」
月の井酒造店は茨城県大洗町磯浜で慶応元年から続く酒蔵です。日本三大杜氏を代表する南部杜氏の菊池正悦さんを含む6人の蔵人たちが酒造りに取り組み、社名の冠ともなっている「月の井」という井戸の水で仕込む銘酒「月の井」などを世に送り出しています。
そんな月の井酒造が会社をあげて誕生させたのが「和の月」。
化学肥料や農薬を使わず育てた有機栽培米から造られる特別純米酒で、まろやかで優しい味わいが特徴です。なんとこの梅酒は、その「和の月」で仕込んだお酒なのです。
せっかくなら「和の月」そのものを飲んでみたい!と思いましたが、使用している梅も有機栽培にこだわった国産の南高梅。有機栽培の梅×日本酒なんて贅沢ですね。ちょっと期待が高まります。
ではご開帳。よーく冷やしておきました。
瓶を開けると、ほのかに甘酸っぱい梅の香りが鼻をくすぐります。
とろりとしたテクスチャーで、色はほんのりした朱色。自然な梅の色です。
早速一口飲んでみて、思わず声が出ました。
「甘くない!」
この梅酒、糖類・添加物不使用で、人工的な甘さが一切ないのです。
これまでの梅酒の概念を全く覆す、梅そのものの味がする梅酒です。かといって酸っぱいわけでもありません。ほんのり甘いのは米の糖分。そして奥行きのあるお酒の香りと旨みが、飲んだ後に喉の奥に余韻を残します。
梅酒といえば食前酒に飲むイメージですが、これは食前酒はもちろん、食事と一緒に味わうべきだと思いました。どんな料理の邪魔もせず、むしろ素材の味わいを上手に引き立ててくれます。
こってりした肉料理にも、淡白な魚料理にも、前菜にもサラダにもよく合います。
チョコレートとも相性抜群。ウイスキーのような濃厚なボディと、どっしりしたコクのある味わいがスイーツにピッタリです。
洋だけでなく和菓子でもイケます。羊羹といただくと、梅の酸味がちょうど和の味に合うんです。
個人的にはチーズといただくのが一番好きです。ワインのように楽しむこともできますね。
この梅酒、お世辞ではなく本当に気に入ってしまいました。梅酒今までゴメン!と謝りたい気持ちです(笑)。もちろんこの梅酒だからこそここまでの感動を与えてくれるのだと思いますが……。
もし、「梅酒=甘い」という先入観を抱いている方がいたら、ぜひこのオーガニック梅酒を飲んでみてください。私と同じように梅酒ゴメン!と言いたくなるはずです。
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意外にも、自ら梅酒を飲むことはなかった猫田さんも、「日本の極み 茨城県 月の井酒造店 日本酒仕込み オーガニック梅酒」には舌鼓を打っていただけました! 日本酒と梅本来の甘みは、梅酒のイメージを覆す味わいだったようですね。梅酒がお好きな方はもちろん、あまり飲まないという方も、ぜひお試しください。
猫田しげる
食関係の編集ライター。タウン誌、グルメ情報誌、レシピ本、新聞の地域情報版などの媒体で15年以上取材執筆。美味しいものからちょっと変わったものまで、食に関するあらゆることを愛し、日々発信中。