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カタログギフトのリンベルが日本中から厳選した逸品を、美食のプロがテイスティング

「かぶら漬」グルメライター・猫田しげるさん

まず切ってみて、何気なく包丁を入れたときの「シャクッ」という音にびっくりしました。こんなに切れ味の良い漬物は、いまだかつて出会ったことがありません。

口に運ぶ時点で、すでにいい香りが鼻先に漂います。根菜特有の青々とした香りです。
さっくりと噛んでみると、さくさくと軽快な食感。酢は甘すぎず酸っぱすぎず、見事なバランスに感心します。

(本文より)

 

 

今回、グルメライターの猫田しげるさんにご紹介いただくのは、「かぶら漬け」。
お漬物のレポート…?とあまり乗り気ではなかった様子の猫田さんでしたが、だんだんと「温海かぶ漬け」の魅力に夢中になっていく様子は必見です!ぜひ最後までご覧ください。

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かぶの漬物……。
今回の試食レポートについてそう告げられた時は、正直、「お肉とか海産物とかがいいな」と思ってしまいました(すみません)。
ですが、届いた商品を見た瞬間、テンションが一気に上がりました。

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丸い木桶に入った、漬け樽を思わせるパッケージ。おしゃれな掛け紙。
「おぬし、ただの漬物にあらずや」とちょっと身構えてしまいました。

f:id:blogscout:20170315192515j:plain開けた時の感動もひとしおです。なんと鮮やかなピンク色の漬物。200g入りが4袋詰められていて、かわいい「温海かぶ」の説明書も添えられています。

袋の裏を見ると、「原材料名:あつみかぶ、醸造酢、砂糖、食塩」だけ。実にシンプルです。
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ところで、あつみかぶ って何なのでしょう?

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「温海(あつみ)かぶ」は山形県の庄内で作られるかぶのことで、発祥は「一霞(ひとかすみ)」という地域。なんとここでは、温海かぶを昔ながらの焼畑農業で栽培しています。
傾斜30度ほどの急斜面で、乾燥させた地に火をつけて燃やし、まだ熱のあるうちに種をまきます。播種は8月ごろで、収穫は10~11月。
燃やした灰の作用で、土がリン酸やカリウムなどが豊富になる上に害虫駆除もできるので、農薬がいりません。

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生の温海かぶは外側が赤紫、中は純白ですが、漬けたときに酢とかぶの色素が反応し、このようなピンク色になるそうです。手間のかかる自然栽培で、限られた生産者によって作られた温海かぶを使った温海かぶのかぶら漬け。いざ実食です!

 まず切ってみて、何気なく包丁を入れたときの「シャクッ」という音にびっくりしました。こんなに切れ味の良い漬物は、いまだかつて出会ったことがありません。

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切り口がやさしい桃色をしています。断面からみずみずしさが伝わるようです。f:id:blogscout:20170315192457j:plain

口に運ぶ時点で、すでにいい香りが鼻先に漂います。根菜特有の青々とした香りです。
さっくりと噛んでみると、さくさくと軽快な食感。酢は甘すぎず酸っぱすぎず、見事なバランスに感心します。よく浸透していて、かぶ本来の風味にうまく調和しています。

ざく切りの食感は格別ですが、スライスしてもおいしくいただけます。
菜の花のおひたしを添えると、かぶら漬けのきれいなピンクがさらに引き立ちました。

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かぶはほのかに苦味があり、その後、舌にわずかな辛みが残ります。
辛み大根を食べたときのような、爽快なピリ辛感です。一口でこんなに深い味わいをもつかぶは初めてです。さすが、一霞の温海かぶ。

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そのままでもお酒のおつまみになります。日本酒を口に含んで、その味わいが残るうちにかぶら漬けを食べると、醸造酢とお酒の相乗効果で、よりうま味が増します。f:id:blogscout:20170315192503j:plain

もちろん、ご飯に合うことは言うまでもありません。かぶら漬けの味が力強いので、他におかずがいらないほどです。酸っぱいものが苦手な人でも箸が進むこと間違いなしです。
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刻んでまぜご飯にしてみました。
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ちょっと「合うのかな?」とは思いましたが、やってみて大正解!
甘酢にコーティングされたご飯の、やわらかな甘み、酸味、そしてシャキシャキ感がたまりません。これはオススメの食べ方です。ご飯おかわり必至です。

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ああおいしかった……と、食べ終わった袋を捨ててはいけません!
残った甘酢を使わないテはないのです。

まずは水菜を軽く浅漬けに。これだけでも立派な一品として食卓に並べられそうです。f:id:blogscout:20170315192510j:plain

えのき茸をレンジでチンして、甘酢に浸してみました。我ながら名作です。
新手のなめたけのようで、素晴らしいご飯のおともに変身しました。f:id:blogscout:20170315192512j:plain

たかが漬物、されど漬物です。普段は脇役、むしろ副菜以下のエキストラと侮っていた漬物も、とびきりの素材を使って最高の味を追求すると、ここまでのキャストになれるんですね!

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一切れ一切れを大事に食べたい、まさにプレミアムなかぶら漬けでした。
甘酢の使い道もいろいろ試してみるのが楽しみです。

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いかがでしたか?
猫田さんのなかでの、漬物の印象をすっかり変えてしまった「かぶら漬け」。今回ご紹介した「温海かぶ漬け」は、庄内を代表する漬物ですが、伝統の焼畑農業でつくられた一霞の温海かぶは、そのなかでも特に希少なものなんです。農法から漬け込みまでこだわり抜かれ、かぶのうまみがぎゅっと詰まった「かぶら漬け」。ぜひ味わってみてくださいね。

 

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猫田しげる

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食関係の編集ライター。タウン誌、グルメ情報誌、レシピ本、新聞の地域情報版などの媒体で15年以上取材執筆。美味しいものからちょっと変わったものまで、食に関するあらゆることを愛し、日々発信中。