それぞれの違いはしっかり感じられ、目隠しで飲んでもどれがどのお酒かを当てられるほどでした!
日本酒が好きな人には純米、いい意味でクセがあるお酒が好きなら山廃純米、キリッとした辛口を好む人には吟醸、甘めが好きな人や女性には純米大吟醸……といったところでしょうか。
(本文より)
グルメライターの猫田しげるさんに、「山形の極み 寿虎屋酒造」を試飲していただきました。今回は、寿虎屋酒造の看板銘柄である「霞城壽(かじょうことぶき)」シリーズ4種の飲み比べをレポート。それぞれの魅力をたっぷりお伝えいたします!
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今回の試食レポートも「日本酒」!! しかも4種!! 嬉しいやら困ったやら、よっぽど私が酒好きだと思われているのでしょうか(笑)。相違はありませんが。
いつもは「東の麓酒造」さんでしたが、今回は初めての「寿虎屋酒造」さん。
実はこちらもマニアの間では有名で、看板銘柄「霞城壽」で知られる創業300年の老舗酒造です。
ここのスゴいところは、
- 酒蔵の移転時に水の良さを考えて村山高瀬川の近くに決めた
- 吟醸酒以上には掛米(酒米ではない一般米)を一切使用せず、全麹仕込み
- 全国新酒鑑評会で10回以上金賞を受賞
などなど数あるのですが、まあウンチクは抜きにして早速試飲してみましょう。
なんと今回は、リンベルと寿虎屋酒造がコラボした「山形の極み」シリーズ。
「霞城壽」の純米・山廃純米・大吟醸・純米大吟醸の4種です。
同じ「霞城寿」でも、それぞれで酒米を変えているのも驚きです。
純米には心白が大きめの山形産「出羽の里」、山廃純米と純米大吟醸には同じく山形産で淡麗な酒ができる「出羽燦々」、大吟醸にはタンパク質(=雑味)が少ない「山田錦」を使用しています。
では「霞城壽」4種を、それぞれ飲み比べしていくとしましょう。
▼純米 霞城寿
山形産の酒米「出羽の里」を寒造り瓶詰めした旨口純米酒。12月~2月頃までの寒い季節に造られるのが寒造りで、キレのある味わいに仕上がるのが特徴です。
少し口に含んでみると、一口目からかなりパンチがあります。
日本酒度は+2のやや辛口ですが、それ以上に辛口のように感じられます。
ですが、とがった感じはなく、次第に丸みのあるコクが強まってきます。
このお酒はぬるめの燗がオススメだそうです。
少し温めると、穀物らしい米の糖分の味がより強く感じられます。
日本酒好きの人にはおそらくドンピシャの繊細な味わいです。
▼山廃純米 霞城寿
山廃仕込み、つまり時間と手間をかけた自然な醸造法で作られたお酒とあり、黄金色ともいえるような深みのある水色をしています。
口を開けた瞬間の香りもスモーキー。日本酒度は+3で辛口です。
飲んでみると、琥珀色の見た目どおり、かなり強い味わいです。
どっしりしていて、野性味を感じられます。少しだけ苦味があるのですが、嫌なエグみではありません。良い意味でクセの強い日本酒です。
冷やより熱燗のほうが、このお酒が持つ香りがより立ちます。
濃い味付けの中華料理や、同じような香りの燻製などとよく合います。
これはツウ好みの日本酒ですね。
▼大吟醸 霞城寿
兵庫県産「山田錦」を35%まで磨いた大吟醸。ビンもスマートでスタイリッシュですね。
フレッシュな香りで水色も澄んでいます。
さすが35%とかなり磨かれたお酒だけあって、「米の甘みと旨みだけを抽出しました!」と主張するようなピュアな味わいです。
とはいえ、まったく軽薄ではありません。口に含むうちにしっかりと米本来の糖分が出てきて、アルコール分も高く、重厚感のあるしっかりした飲み口です。
日本酒度は+3と辛口ですが、柔らかな口当たりで角のない喉ごしです。
雑味がなくスッキリした甘さなので食前酒に良さそうですね。
▼純米大吟醸 霞城寿
ビンを開けた瞬間、「おお~これは!」とうなってしまうほど米特有の甘い香りを感じました。
「出羽燦々」を45%まで磨いた純米大吟醸で、日本酒度は+1と少し甘めです。
しかし、飲んでみると甘さは強いものの、もったりした感じはなく、鼻に抜ける香りは清廉です。非常によくまとまった味です。
まるで香りの良い白ワインのように、グイグイ飲み進んでしまいます。甘めのお酒好きにはぴったり。でもしっかりキレがあるので、辛めが好きな人も美味しくいただけるのではないでしょうか。
昼間から一人で日本酒パーティーをしていたら酔っ払ってしまいました。
が、そんなお酒の回った頭でもそれぞれの違いはしっかり感じられ、目隠しで飲んでもどれがどのお酒かを当てられるほどでした!
日本酒が好きな人には純米、いい意味でクセがあるお酒が好きなら山廃純米、キリッとした辛口を好む人には吟醸、甘めが好きな人や女性には純米大吟醸……といったところでしょうか。
実は全部開けちゃったので途方に暮れていましたが、なんと全麹仕込みの日本酒は開栓してから1週間~10日くらいは味が落ちないとのこと! なんとありがたいお酒なのでしょう。これから連日「霞城寿」祭りです!
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いかがでしたか? 同じ「霞城壽」でも、ひとつひとつ酒米を変え、最高の味を追求するというこだわりは、それぞれの美味しさにしっかりあらわれていたようですね。贈る相手の好みに合わせて選べるのもうれしいところ。もちろん、ご自身でも気になったものを味わってみてくださいね。
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猫田しげる
食関係の編集ライター。タウン誌、グルメ情報誌、レシピ本、新聞の地域情報版などの媒体で15年以上取材執筆。美味しいものからちょっと変わったものまで、食に関するあらゆることを愛し、日々発信中。