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「寿虎屋酒造 大吟醸 雄町」グルメライター・猫田しげるさん

 

お酒の美味しさのひとつに「振れ幅」という観点があることに今回気づきました。最初の飲み口と、途中の味わいの変化、後に残る香り。このドラマティックな起承転結が日本酒をより味わい深いものにするのですね。その雄町の良さが、よりダイレクトに表現されているんです。

(本文より)

 

前回に続き、グルメライターの猫田しげるさんに「山形の極み 寿虎屋酒造」のお酒5種を試飲していただきました。今回は最後の1つ「大吟醸 雄町」のレポートをお届け。“幻の酒米”と言われる「雄町」を使った逸品のお味はいかに…?

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世の中には「オマチスト」がいる……と聞いて、何のことかさっぱり分かりませんでした。
これをお読みの方も「?」とお思いのことと思われます。

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なんでもオマチストとは、酒造用のお米こと酒造好適米(酒米)の「雄町(おまち)」を愛する人々のことで、「雄町」のみを使用した日本酒が日本全国から集結し味を競う「雄町サミット」というイベントまで開催されているという熱狂ぶりだそうです。
正直、酒米によってそんなに特徴が出るの?といささか疑いを持ってしまいましたが、それはこの「大吟醸雄町」を飲んで、自分の舌で確かめてみることにしましょう。

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試飲するのは「霞城壽(かじょうことぶき)」で知られる山形の老舗酒造「寿虎屋酒造」が造る「大吟醸雄町」。もちろん「雄町サミット」で優等賞に輝いた実績もあります。
実はこちら、リンベルと寿虎屋酒造がコラボした「山形の極み」シリーズのひとつ。

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シリーズはほかに「霞城壽」の純米・山廃純米・大吟醸・純米大吟醸の4種がありますが、この記事では「大吟醸雄町」についてレポートします。

そもそも、酒米「雄町」は主に岡山県で生産され、「山田錦」や「五百万石」のルーツとなった品種です。このお米で醸造したお酒は、独特の吟香とふくらみのある味わいに仕上がるため多くの愛好家がいましたが、栽培が難しいことから一時は生産量が激減。しかし酒蔵の要望により再び生産量が回復し、近年では全国の酒蔵で愛用されるようになったとか。

説明が長くなってしまいましたが、さっそく試飲してみましょう。
なんとこのお酒はその「雄町」を48%まで磨いた大吟醸。金色の紐がついた高級感のあるパッケージに入っています。

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ビンを開けると、ふわっとフルーティーな香りが弾けました。
グラスに注いでみると水色は透明で、さらりとした質感です。

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口に含むと、甘さが先に来ます。+2のやや辛口のはずですが、あれっ?かなり甘いと意外な印象です。バナナなどの糖度の高い果実のような華やかな甘みで、舌で転がすほどに香りが広がっていきます。
そうしているうちに奥からキリリとしたキレが追ってやってきます。喉を通った後は、「おお、確かに少し辛口だった」と爽快感を残すのです。

なるほど……。この酒米がそこまで愛される理由は、この「ふくらみ」にあるんですね。
横の広がりも、奥深さも兼ね備えている豊かな味わいのお米です。飲み重ねていくと、この味の振れ幅の面白さに虜になってハマるのが分かる気がします。

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しかも寿虎屋酒造は、吟醸酒以上には掛米を一切使用せず、“全麹仕込み”で酒造りを行います。
米麹以外の蒸米を使う日本酒に比べ、アミノ酸が濃くなり、味が凝縮されるのだそうです。
そこに酒造自慢の村山高瀬川の清流。きれいな水ほど素材のポテンシャルを発揮させます。
まさにこの「大吟醸雄町」は、雄町の良さを最大限引き出して一滴一滴に詰め込んだお酒と言えるのです。

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香りや甘みは強いにもかかわらず、後味が辛めで爽やかなので、どんな料理にでも合いそうです。

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写真のように和風のおつまみのほか、カルボナーラパスタや肉じゃがといった濃い味付けの料理でも食中酒として楽しめます。

お酒の美味しさのひとつに「振れ幅」という観点があることに今回気づきました。最初の飲み口と、途中の味わいの変化、後に残る香り。このドラマティックな起承転結が日本酒をより味わい深いものにするのですね。その雄町の良さが、よりダイレクトに表現されているんです。

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これは「オマチスト」という党派ができるのも分かる気がします。……と、単純な私なのですぐに感化されてしまうのですが、この「大吟醸雄町」、雄町の良さを多くの人に広める伝道師として勝手に任命したいところです。

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いかがでしたか?「雄町サミット」なるものが開催されているほど、日本酒ファンを引きつける雄町。その優等賞に輝いた実績を持つのが寿虎屋酒造の「大吟醸雄町」なんですね。辛口ながらも飲みやすいとのことで、ぜひ幅広い方に味わっていただきたいと思います。

 

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猫田しげる

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食関係の編集ライター。タウン誌、グルメ情報誌、レシピ本、新聞の地域情報版などの媒体で15年以上取材執筆。美味しいものからちょっと変わったものまで、食に関するあらゆることを愛し、日々発信中。