まずは宗八カレイ。
皮もパリッとして、箸を入れるとふっくら身が柔らかくほぐれます。
味は非常に上品で、ふわっふわな食感です。淡白ながら旨味が濃く、焼き魚とは思えないほど「フレッシュ」な味わいがします。大根おろしに少し醤油をかけて一緒にいただくと、さらに風味が引き立ちます。
(本文より)
今回はグルメライターである猫田さんに「山形の極み 山形県産 庄内浜海宝味比べ」を試食していただきました。一人暮らしだとなかなか食べない乾物…。ご自宅で味わう干物セット、どんなレポートになったのでしょうか?ぜひご覧ください!
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いきなりネガティブな話で恐縮なのですが、「一人暮らしで買わないものナンバー3」ぐらいに入るのが、干物だと思うのです。「魚焼きグリルが付いていない」「部屋が臭くなる」「そうそう美味しい干物に出会えない」といったことが理由ではないでしょうか(あくまでも私の見解)。そこへ、刺客がやってきました。
刺客とは失礼な、むしろ贈られたらかなりテンションの上がるギフトですね。その名も「山形の極み 山形県産 庄内浜海宝味比べ」。内容は、「いか一夜干し」「宗八カレイ干し」「真鯛開き干し」のセットです。
毎度ながら、どうしてこんなにおしゃれな箱のデザインなんでしょう。干物が入っているとは信じがたいパッケージです。
山形県って海がないんじゃ?とうっかり誤解されがちですが、しっかり日本海に面しています。鶴岡・酒田を中心とした庄内地方に庄内浜があり、ここは潮の流れが速いことから、身の締まった良質な魚が豊富に水揚げされるそうです。
まずは宗八カレイ。実は庄内の地方名で「ガンブツ」と呼ばれているそうです。雪が解けて山が青々としてくる春頃から最も美味しくなるため、旬の時期は「青山ガンブツ」と呼ばれ重宝されるとか。
しかし大きいです。30cmはあり、家庭の魚焼きグリルにギリギリ入るくらいでしょうか。私は持ち手の付いた簡易魚焼き器で挑みました。
焦げないよう、弱火でじっくり時間をかけて焼いていきます。驚くほどの脂が出て、身が膨らみながらパチパチと油分が弾ける音が聞こえます。
中まで火が通ったことを確かめて、盛り付けます。魚焼きグリルがなくてもこんなに上手く焼けるのですね!皮もパリッとして、箸を入れるとふっくら身が柔らかくほぐれます。
味は非常に上品で、ふわっふわな食感です。淡白ながら旨味が濃く、焼き魚とは思えないほど「フレッシュ」な味わいがします。大根おろしに少し醤油をかけて一緒にいただくと、さらに風味が引き立ちます。
お腹の部分にはピンク色の卵がみっちり!ものすごい分厚い子持ちガレイです。卵の部分はコクがあり、しっかりした食感でまた美味です。
そして真鯛。こちらも肉厚で、見るからに脂ののった豊満なボディです。
真鯛は一年中水揚げされますが、旬はやはり4~5月と秋。カレイ同様、弱火で魚焼き器で焼くと、表面にどんどん脂がにじみ出てきます。
身に箸先を入れると「パリッ」と音がし、中を裂くと湯気とともにじゅわ~っと脂が溢れてきました。骨も少なく、ホクホクとした身の程よい塩気と弾力に箸が止まりません。魚にとってはこの身も「肉」なわけで、まさにこの真鯛を「肉付きのいい鯛」とでも表現したくなります。
実は庄内浜は、イカの名産地としても有名なのです。イカの中でも歯応えや甘みなど食味が優れているとされる真イカ(スルメイカ)漁の水揚高は全魚種中トップ。最盛期は5~8月で、刺身でも食べられるほど新鮮な真イカを一夜干しにしています。
こちらはフライパンでも手軽に調理できます。焼いた匂いの香ばしいこと!
そして見てください、この柔らかそうな身。軽く炙り、少しレアめに焼き目をつけるのがポイントです。なにせ生でもいただける鮮度なのですから。
味が濃く、塩気もあるので何もつけずにそのままいけます。表面の焼けた部分がまた香ばしく、中は限りなくソフトです。
一方、耳と足部分はコリコリして歯応え抜群。これもビールに合いますね。
一人暮らしの私の家に登場して心配そうだった干物たち(笑)。
でも魚焼きグリルがなくても、簡単に美味しく調理ができて一安心。匂いも換気扇を回せばすぐに消えますし、むしろ家が炉端焼き店のような香りになってテンションが上がりました。
……と万事うまくいったように書いてしまいましたが、実は一つ困ったことが。それは宗八カレイがあまりにも大きすぎてお皿がなかったこと!(急遽買いに行きました) ここまでビッグサイズな魚もあまりないので、皆さんのご家庭でもそれだけが心配です。
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いかがでしたか?そのままでも食べられるほど鮮度の高い真イカや、肉厚で油がしっかりのったカレイや鯛。3種類の味が楽しめる「山形の極み 山形県産 庄内浜海宝味比べ」。ぜひ、贈り物はもちろん、ご自身でもご賞味ください。
猫田しげる
食関係の編集ライター。タウン誌、グルメ情報誌、レシピ本、新聞の地域情報版などの媒体で15年以上取材執筆。美味しいものからちょっと変わったものまで、食に関するあらゆることを愛し、日々発信中。