スプーンでしゃくると、「ジャクッ」と水分がはじけるような音が響きました。
口に入れると、体が求めていた水分と甘さがじゅわ~っと口中を満たします。とにかく、「甘い!」という味覚しか感じられません。変な表現ですが、固体のすいかジュースを噛みしめているような感覚です。
(本文より)
グルメライターの猫田しげるさんに、「山形の極み 尾花沢すいか」を試食いただきました。美味しいすいかの見分け方や、このすいかだからこそできる食べ方もレポートしていただいています。ぜひ最後までご覧ください!
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皆さん……
リンベルの試食レポートで今回ほど困ったことはありません。
なぜなら、届いたすいかが大きすぎる!! という想定外のシチュエーションに直面してしまったからです。
見てください、この文字。6Lサイズのすいかって聞いたことがありますか? 私はそんなサイズまであることも初めて知りました。
なんでも、このすいかが育った尾花沢市の村山地域は夏すいかの生産量が日本一。さすがキング・オブ・すいかの名産地、見ているだけでも満足です。
重さはずっしり11kg!!
正直、1人で持つのが大変で、箱から出せずにしばしすいかの前で呆然としてしまいました。
突然ですが、美味しいすいかの見分け方をご存知でしょうか? 青果の目利きによると、
- 上部のくぼみが激しい
- 縞の境目がハッキリしていて、縞のギザギザが激しい
- 緑色の部分が縞よりも盛り上がってデコボコしている
という特徴を持つすいかが、糖度が高いとされるそうです。
この尾花沢すいか、その条件をピタリと満たしているではありませんか!
それもそのはず、このすいかは村山地域の農家で、糖度や果肉の質を徹底管理されたものだけを選り抜いたプレミアム品。生産量全体から見ても数パーセントしか育てられないという糖度11%もの甘さで、しかも非常に珍しい超大玉なのです。
ようやく箱から出したのはいいものの、またすいかを前に呆然としてしまいました。
なにせ、すいかの半径が大きすぎて包丁の刃が半分にも届かないんです。通常はスッ、スッと2度ほど包丁を入れれば半分まで切れるのですが、何度包丁を入れても中心まで届かない。多方向から包丁を入れるので中心がずれる。
このすいかを切る時は皆さん、注意してください。あらかじめ皮にぐるっと線を引いておいて、ずれないように線に沿って切るとまっすぐ切れると思います。
そして切っているそばから溢れ出てくるジュース!
まな板にこぼれていくのがもったいないほどです。
ついにご開帳(少しアンバランスですが)! 中を見て、思わず「まぶしい~」と驚いてしまったほど鮮やかな赤色! 種も少なめです。
1/6に切ってもものすごい大きさです。これだけで8人分ぐらいカットできたのにはびっくりです。ということはこのすいか、50人分ってことでしょうか。
キメも細かく、果肉の繊維の間にまんべんなく果汁が詰まっているのが見て分かりますね。
スプーンでしゃくると、「ジャクッ」と水分がはじけるような音が響きました。またもやジュースが溢れて溢れて、お皿にどんどん流れていきます。羞恥心など捨てて、食べ終わったらお皿のジュースも飲むべきです。
口に入れると、体が求めていた水分と甘さがじゅわ~っと口中を満たします。とにかく、「甘い!」という味覚しか感じられません。変な表現ですが、固体のすいかジュースを噛みしめているような感覚です。とにかく口の中に果汁がどんどん溢れ出し、みずみずしい味わいが喉を潤していきます。
上質なすいかは皮の近くの白い部分が少ないことも重要ですね。あまりにも美味しすぎて皮のギリギリまで食べてしまいましたが、むしろ白い部分すら美味しい!!
いつものように塩をかけてみました。
普通は甘さが引き立つものですが、このすいかは違いました。塩で引き立てる必要もないくらい極限まで甘くなっているため、単に塩のしょっぱさが加わってしまっただけでした。
このすいかには塩は不要です!
ひねったレポートをと考えたものの、すいかはこのままで食べるのが一番。スプーンすら使わなくても良いかもしれません。一心不乱に半分のすいかにかぶりつく、そんな夢を存分に叶えたくなるすいかです。
最初は「デカい……どうしよう」と途方に暮れましたが、言うまでもなく人生で一番美味しいすいかでした。この大きさも、おそらくほとんどの人が見たことがないサイズだと思います。
先日、すいか好きな父に贈った他県の高級すいかは同じぐらいの値段で3Lでしたが、それでも「大きい~」と驚いていました。この尾花沢すいかを贈ったらどんな反応をするのでしょう。楽しみです。
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いかがでしたか?写真からもその大きさ、そしてみずみずしさが伝わってきましたね。暑い季節を涼しく過ごすのに、これ以上ないくらいぴったりなすいかです。
猫田しげる
食関係の編集ライター。タウン誌、グルメ情報誌、レシピ本、新聞の地域情報版などの媒体で15年以上取材執筆。美味しいものからちょっと変わったものまで、食に関するあらゆることを愛し、日々発信中。